主要な経営指針

2023年9月期の概況について

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行され、行動制限が大幅に緩和されたことに伴い、インバウンド需要が増加し、個人消費や企業の設備投資にも回復傾向が見られるなど、総じて緩やかな回復基調で推移しました。一方で、ウクライナ侵攻の長期化に伴う原材料の高騰、世界的な金融引き締め政策に伴う急激な円安により、物価の高騰や金利の上昇などの影響による消費者マインドの低下懸念など、国内景気を下押しするリスクにも警戒が必要な状況で推移しました。
 当社グループの属する建設関連の市場におきましては、住宅ローンの低金利の継続、子育て層の住環境への意識の高まりなどを背景に、住宅需要は比較的堅調に推移しました。また、民間非住宅投資、公共投資、リフォーム需要についても持ち直しの傾向が見られました。
 このような環境の下、当社グループは、当期を初年度とする第4次中期3か年計画に基づき、当社の基盤事業である戸建住宅向けのタイル、石材、住宅設備、衛生機器等の販売・工事に加え、重点商材と位置付けているサッシ、サイディング、空調機器、内装建材の拡販に取り組みました。また、それら商材の拡販スピードを速めるためのM&Aを実施し、サイディング工事会社やサッシ工事会社等のグループ化を図りました。
 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は860億85百万円と前連結会計年度に比べ69億42百万円の増収(8.8%増)となりました。増収の主な要因としましては、戸建住宅向けの販売及び工事、大型物件向けの工事が増加したことによるものであります。
 損益面につきましては、営業利益は戸建住宅事業の売上総利益率が低下したことや、人件費や物流費等の販管費が増加したことにより、17億70百万円と前連結会計年度に比べ1億29百万円の減益(6.8%減)、経常利益は20億68百万円と前連結会計年度に比べ99百万円の減益(4.6%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は12億74百万円と前連結会計年度に比べ3億73百万円の減益(22.7%減)となりましたが、これは前期に負ののれん発生益による特別利益が存在したことによるものであります。

 

2024年9月期見通しについて

 今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症5類移行後における経済活動の正常化にともない、企業の設備投資の回復、インバウンド需要の継続的な拡大や賃上げによる個人消費の持ち直しが期待されます。一方で、さらなる世界的な物価上昇、急激な為替変動の加速、中国経済の停滞など、国内の景気を後退させる要因も潜んでおり、国内経済の先行きは見通しが立てづらい状況にあります。
 住宅・建設関連業界におきましては、住宅向け融資の低金利や政府の各種住宅取得支援策を背景に、新築の戸建住宅及び分譲住宅の需要は底堅く推移し、民間非住宅投資及び公共投資につきましても、企業収益の改善や景気底上げ予算の執行を背景に回復傾向が継続することが見込まれます。しかしながら、物価高騰や賃金上昇の抑制、住宅金利の動向、建築コストの高騰や不動産価格の上昇などの影響により、建設投資や住宅需要が後退するなどの厳しい事業環境も予想されます。
 そのような状況のなか、当社グループは、引き続き新規顧客開拓に重点を置き、商材の拡充と施工力の増強に努めてまいります。

当社グループは、以下の主要課題の達成に向けて引き続き注力してまいります。
①グループの成長スピードを上げるための戦略的意思決定
 今後も持続的成長のためのM&Aを積極的に実施し、営業エリア及び商材・施工力の補完を図ってまいります。2023年9月期においては、東京都内のサイディング工事会社、静岡県内のサッシ工事会社等を買収しました。これによりグループ内における当該商材の拡販スピードを一層加速してまいります。
②市場環境の変化に備え、ビジネスモデルを変革し、グループシナジーを早期に実現する。
 グループ内において、サッシ、サイディング、木質建材、空調機器工事、買取再販事業を業績拡大策のための共通課題として取り組むとともに、調達先や外注先の共有化や工事管理体制の統一化を図ってまいります。また今後、ドライバーを中心とした物流関連の人材不足が予想されるなか、自社物流の体制を推進してまいります。
③人材の戦略的な活用
 グループ内における人事制度や研修制度の統一化を推進するとともに、2022年9月期に導入した「タレントマネジメント」システムの利用を促進し、人財の見える化を図るとともに、グループ間での交流や異動を進めてまいります。

 

 

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